おそ松さんパーカーについて思ふこと。

コミックランドの「おそ松さんパーカー」の販売中止のオハナシ。

http://matome.naver.jp/odai/2144914848620768001

コミックランドさん自体にあまりよい評判を聞きませんので、客観的な思考が困難な部分もあるのですが、努めて客観的に語ってみます。

単刀直入に言いますと、

この案件、著作権法の面ではセーフの可能性が極めて高いと思います。

コミックランドさんの「松模様パーカー」は確実におそ松さんに乗っかっているでしょう。
このおそ松さん大人気のご時世で、
「は?パーカーに松模様付けただけじゃん。そりゃ被ることもあるわ」
というのは通りません

そもそも、コミックランドさんの商売は「コスプレ衣装」ですから、
「知らなかった」は確実に無理スジです。

ではなぜセーフなのか?
それは、既に仮想的な言い訳として述べた通り、

松模様を付けただけのただのパーカーだから

です。

「松模様」でググってみて下さい。
あの模様と同じようなモチーフの画像はいくらでも出てきます。
あの松模様自体が「創作的だぁ~」とは思われないでしょう。
では、その松模様をパーカーに付すことは?れほど画期的なことでしょうか?いや厳しい。

というわけで、おそ松さんパーカーを「著作物」として保護することは、非常に厳しいと思います。

じゃあじゃあ!

コミックランドさんのパーカーは何故販売停止になったのか
完全な推測でしかないですが、実際は力技だと思います。
おそ松さんはエイベックス仕切りですから、「オドレら・・・」という種類の力には事欠かないと思いますので、コミックランドさんのパーカーは力技で販売停止になったものと推測します。

それはそれ、

おそ松さんの人気にあやかって無許諾で劇中のパーカーを売る行為が褒められたモノだとは思えません
「著作物」として認められないから保護されないのか?ということを考えてみたいところです。

そもそも、おそ松さんパーカーが人気なのは、あのパーカーのデザイン性そのものではなく、「おそ松さん」というアニメが面白いから、ですよね。
なので、パーカー自体の著作物性を論じること自体が間違いであり、単純に、「おそ松さんの人気にあやかる」、「ただ乗りする」という事をとがめるべきだと思われます。

なので、パーカーを意匠登録で保護する、という手法も今回は除外。
意匠登録の場合、「創作容易だ」と判断されれば保護されませんしね。

「登録」という過程を経る知財保護であれば、商標法が挙げられます。
「おそ松くん」というフジオ・プロダクションの商標登録がありますが、今回は「おそ松くん」という言葉が使われていないので無関係でしょう。
今回の事案にダイレクトに作用するとすれば、商標登録において指定する保護対象の商品として、パーカーが含まれる「被服」等を指定し、あの松模様を商標として登録することになります。

「おそ松さん」として商標登録を行っても、売る際に「おそ松さん」という言葉が使われなければ手出しできません。今回は「松模様パーカー」として売られていたようですしね。

では、あの松模様をわざわざ商標登録するか
それはちょっと・・・という感じですね。

次に、「登録」という過程を経ない知財保護、どちらかというと、アニメ関連のグッズの知財保護はこちらが重要だと考えているのですが、まず最初に浮かぶのは不正競争防止法

詳しい条文は省きますが、ある程度の知名度を有する商品等表示」を勝手に使っちゃだめよ、という条文があります。
劇中の小道具やコスプレ衣装等のアニメグッズの知財保護に関して、私が最も期待している条文です。

この条文の適用に関してのハードルは大きく2つ

1.劇中の小道具やコスプレ衣装が「商品等表示」として認められるのか?
2.そもそも「商品」を示しているのか?

順番に考えてみます。

1.劇中の小道具やコスプレ衣装が「商品等表示」として認められるのか?
おそ松さんパーカーを見れば、知ってる人なら「おそ松さんだ!」と思いますよね。
でも、松模様が描かれていてもパーカーはパーカー、商品そのものです。「商品等表示」と呼べるのか?というところに反論が出そうです。
松模様はマークですので商品等表示と呼べそうですが、松模様が単独で存在していても一般的な模様ですので、直接的に「おそ松さんだ!」とはなりません。パーカーであのお腹の辺りの位置に描かれて初めて「おそ松さんだ!」となります。
また、有名なモチーフではありながらも、劇中に登場するものが「商品等表示」として認められるのか?という疑問もあります。
とある裁判では、「ゲーム中の画面について、あくまでもゲームをプレイしている時に視認可能となるものであり、ゲームの商品等表示とは認められない」と判断されています。

2.そもそも「商品」を示しているのか?
なんども描いているように、松模様パーカーで思うことは「おそ松さんだ!」です。
つまり、アニメ作品を表示しているのであって、「商品」を表示しているのか?というところに反論が出そうです。

と、想定される反論を検討してはみるものの、私としては(願望混じりではあるものの)この条文でおそ松さんパーカーの知財保護は叶うのではないかと思います。

そしてもう1つ、残念ながら最高裁で否定されてはいるものの、今後、「コンテンツ」というものがビジネス上で更に重要化していく上で再度議論のテーブルに上げたいのが「パブリシティ権」です。
パブリシティ権は、人に備わった「顧客吸引力」を保護する趣旨のもので、「芸能人の写真なんかを勝手に使っちゃいけない」といった感じで適用されます。が、人格権的に根ざしたものであり、「モノ」には認められないということが最高裁で判断されています。
従って、「アニメの人気、顧客吸引力」に対して「パブリシティ権」が認められる可能性は現状は非常に低い、残念です。
アニメ立国日本」において、これはとても国策としてまずいことなのではないかと感じます。

で、最後の手段として主張しておきたいのが「一般不法行為」です。
「特別に保護される法律は無いけど、さすがにそれはダメだよね」という趣旨の判断です。
知財屋において有名なところですと、「著作物」としては認められない程度の一般的なデータベースについて、著作権法での保護は認められないものの、「そのデータベースの構築、管理、保守に関する労力に対し、ただ乗りは許せない」という判断がされました。
同じような趣旨で、「松模様のパーカーを売ることは、著作権法や不正競争防止法での保護は難しいけど、さすがにただ乗りは許せない」という判断は、それなりに現実的なものなのではないかと。

さて、色々書いてきたところですが、

頭の中を空っぽにして考えてみると、

普通の松模様のパーカー売って何が悪いの?

という声だって、わからなくもない。
知財保護の難しさを考えさせられる事案だったのではないでしょうか。

裁判して欲しかったな。。。

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