コレアリ?商標権の譲渡について

10年ぶりにバイクを購入してとにかくバイクに乗ってたいCIVです。
そのうちバイク配信をやりたいと思う所存。

さて、前回は企業のブランド戦略の危うさやについて語ったわけですが、
ブランドと切っても切れない関係なのが

商標権

でございます。

端的に言えばブランドを法的に守る手段が商標権ということになりますかね。

「電子応用機械器具」みたいな商品や、
「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」みたいなサービス(役務)が明確に指定された上で、

「SONY」やら、「東芝」やらといった屋号、
「VAIO」やら、「dynabook」やらといったブランドについて商標登録がされます。

そして登録がされると、指定された商品や役務について登録された商標が使えるのは商標権者のみという法的効果が発生します。

例えば「VAIO」という商標については、「電子応用機械器具及びその部品」という商品が指定されてソニー株式会社が商標権を取得しています。
「電子応用機械器具及びその部品」というのは、まぁパソコンのことだと思えばいいです。
つまり、「VAIO」というパソコンを製造、販売していいのはソニーだけってことになります。
これが商標権の法的な効果です。

で、

この商標権ってものは一部の例外を除いて移転が認められています。
一部の例外っていうのは、地方公共団体とかそういった特別な主体に対して特別に登録が許された商標のことで、あんまり考えなくていいです。

商標権が移転されると、例えば、「VAIO」という商標が東芝に移転されたとすると、当然東芝が「VAIO」というパソコンを作っていいことになります。

コレ、アリなんすかね?

中身、dynabookですけど?
※注:dynabookを落としてるんじゃありません、パッケージと中身が違うって言ってます。チョコ買ったらパッケージの中身がグミだった、それは嫌でしょ?

「VAIO」の商標権が東芝に移転されることと、ソニーで「VAIO」を作ってた人が東芝に移籍することがセットなら、by SONY が by 東芝 に変わるだけで中身は元の「VAIO」に近いと思うのでいいかもしれません。
こういうのは、商標法的には「事業移転と共に行う商標権の移転」みたいな感じで表現したりします。
つまり「VAIO」の製造販売をそっくりそのままSONYから東芝に移転するって感じですね。
実際、先に書いた「一部の例外」の中には、「事業と一緒に移転するならおk」ってものもあります。
これは、パッケージが「VAIO」で中身が「dynabook」みたいなことにはならないので許される気がします。
ただ「SONY」じゃなくて「東芝」って書いてあるだけで。

しかし、商標法では、事業移転を伴わない商標権のみの移転が認められているのです。
それが認められている趣旨を説明した文章がありますが、抜粋すると以下のような感じ。

・元々、商標権は商品やサービスの提供元を表示するものとして人格権的な意味合いが強かった。
・だから、商標権を単独で移転することは認められず、その商標に関する事業と共にする場合のみ移転を認めていた。
・だけど商標が有名になると、提供元の表示機能よりも、その商標に蓄積されたブランド力みたいなもんが独立して価値を持つようになった。Tシャツにロゴ付けただけで売れるみたいな。
・つまり、人格権的な意味合いのみならず、財産権的な意味合いが強くなっていった。
・そのため、経済界からは事業とは切り離した自由な商標権の移転を認めろという要望が強く、現実的に自由移転が行われていたようだ。
・自由な移転を認めた結果、商品やサービスの提供者が変わることとなり、「出所表示機能を持たせて需要者の利益を守る」という商標権の意義が揺らいでしまうが、一般の消費者は、品質さえ保証されれば誰が提供してても気にしないだろうし、自由移転を制限したところで品質が保証されるわけではない。
・商標権の自由譲渡を認めることにより商標権を譲り受けた側は、信用の維持に努めるだろうから、品質が劣ることにはならないだろう。

、、、そうか?

この文章で気に食わないのは、「品質」っていう大雑把な括り方。

品質が良いの悪いのってのと、自分の好みに合ってるのとは違うでしょうよ。
(自分は別にVAIOファンじゃないけど)VAIOファンからしたら、どんだけ品質が良かったとしても、中身がdynabookじゃあ嫌なんじゃないの?その逆も然り。

思い入れのある好きなバイクの商標が他のメーカーに移転されて、エンジンもフォルムも全然違うバイクに使われちゃったら嫌だしさ。

余談だけど、隼の国内版出す際には社内で喧々諤々もめたらしいです。そりゃそうだよね。そうじゃなきゃいけない。「逆輸入」っていうのは「隼」ってブランドに備わっていた意味の1つでしょう。

そんなこんなで、国際的な趨勢には反してるのかもしれないけど、商標権の自由譲渡には基本反対です。

特に

知名度の高い商標は自由移転に何らかの制限があって然りだと思う。
それが需要者の利益を守るっていう商標法の意義にも合致するんじゃないのかね。

例えば、商標法上では「周知」とか「著名」とかいう表現で商標の知名度が議論されます。
「周知」:「需要者の間に広く認識されている」ことをいい、一地域で又は特定の取引者・需要者の間で知られていれれば該当する。
「著名」:「周知」の程度が高く、日本全国に知れわたってるような場合に該当する。

こんな感じ。

だから、「周知」だったり、「著名」だったりする商標の商標権は自由移転に何らかの制限を付けてもいいのではないかと。
まぁ、周知だったり著名だったりする商標にこそ財産的価値があるので、そこ制限したらそもそも自由移転を認める意味が薄過ぎるんだけどさ。

で、コンバースの商標権も移転された結果の現状なので、それについて

需要者の利益害されてんじゃん!

って書きたいんだけど長くなったから次で。

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