商標ブローカーって知ってますかね?
知らない人はggって下さい。
ザックリ言うと、「人間のクズ」ってことなんですが、もう少し詳しく言いますと、
流行りそうな言葉、流行り始めた言葉等を先取り的に商標登録出願しておき、その言葉を商品やサービスに使いたい企業が現れた時に高値で売り払ったり、使わせる代わりに金を巻き上げたり
そういうクズなことをやってるクズな生き物のことを言います。
前回ブログに書いた『リニア』商標の商標権者なんかはまさに商標ブローカーですね。4ねばいいのにと思います。
他には、流行語大賞の発表前後にはノミネートされた言葉の商標登録出願が増えます。
やってて恥ずかしくないんでしょうかね。
知識のない冗談交じりの一般人ならまだしも、大企業がやってたりしますからね。「非常に乾く」成り上がりのビール会社とか。
で、なんですが。
これって、そもそも「商標法」の使われ方として正しいんでしょうか?
商標法の目的と言うと条文上では
第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
と書いてあります。
大きく分けると2つの趣旨がありまして、
1.商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、産業の発達に寄与する
例えば、「ニコニコ動画」というサービス名でドワンゴによってサービスが提供され、そのサービスが有名になります。そうすると、他の会社がその名を語ってサービスを提供すると、ドワンゴが提供している「ニコニコ動画」と勘違いされてしまいますね。そして、サービスの質が悪ければ、ドワンゴの信用が落ちてしまいます。
そうすると、そのような勘違いが起こったまま、「もうニコニコ動画は使わない」となってしまいます。その結果、名を語られて顧客を失ったドワンゴは当然困るのですが、そこで発生するはずだった経済活動も失われ、産業発展にとってもマイナスになります。
それでは困るので、同一の商品名やサービス名は1つの会社の管理においてのみ使用されるようにして、その会社の信用を維持し、健全な経済活動を行わせようということですわ。
2.需要者の利益を保護する
上で説明したように、他の会社がその名を語ってサービスを提供すると、ドワンゴが提供している「ニコニコ動画」と勘違いされてしまうのですが、その結果生じる弊害はドワンゴの信用や産業の発展だけではありません。勘違いした需要者、即ち我々も困るわけです。「ニコニコ動画だぁ~」と思ってサービスを使ったら、全く別のサービスだった、質も悪い、金返せ!となります。
そういった需要者が受ける不利益を防ぐことも商標法の目的です。
で、
商標権を先取りしたくそ野郎を儲けさせるなんてドコにも書いてませんけど?
商標は、商品やサービスに対して言葉を付することにより、その言葉に信用が蓄積されてなんぼ。
言葉自体を先に押さえて金儲けしようなんてことが許されていい道理はないわけです。
つまり、商標ブローカーは法律を曲解して利用しているわけですわ。
更に言えば、法律を使って他者を恫喝して不当に金をせしめているだけなんですね。
では、こんなくそ野郎は野放しにしておく他ないのか?
そんなことはないんです。ちゃんと排除する規定はあります。
既に特定の商品やサービスに対して有名になっている言葉であれば、商標登録を排除する規定があります。
また、登録された商標であっても権利行使が制限される規定もあります。
適用に際して非常にハードルが高いという論調が強いですが、「公序良俗に反する出願はNG」という規定もあります。商標ブローカーがやってることはまさに公序良俗に反していると思うのですが。
更に、商標法における極論的な裁判例として、「小僧寿し事件」という判例があります。
1.あるところに個人で「小僧」という寿司屋を営む人がいました。その人は「小僧」という言葉の商標権を持っていました。
2.その寿司屋「小僧」の近くに、小僧寿しチェーンが進出してきました。その結果、寿司屋「小僧」の売り上げは減ってしまいました。
3.寿司屋「小僧」は、進出してきた小僧寿しチェーンを商標権侵害で訴えました。「小僧」を使うな!減った売り上げを損害として賠償しろ!
4.商標法上は、商標権侵害と言える事案です。裁判は最高裁にまでもつれ込みました。
5.そして遂に、最高裁での判決が出ます。
裁判官「いくらなんでも、お客さんは小僧寿しチェーンと寿司屋「小僧」を間違えたりせんよ。だから損害は発生してない。賠償は無しで。」
そらそーやわ。。。
分かりますかね。
日本では商標権は商標登録出願→登録を経て発生しますが、それでも使ってナンボ、有名になり、需要者の信用が蓄積されてナンボなんです。「言葉」の権利は、その言葉を使い続けて信用を勝ち取った者にこそ与えられるのです。いくら商標権を持っていても、その言葉に商売上の信用が蓄積されていなければ、他人から金を取ったり、他人の使用を禁止したりする権利なんてないのです。
この点、米国をはじめとした「使用主義」という商標制度を採用している国は合理的だなぁと思います。ちなみに日本は「登録主義」で、一部、使用主義的な制度も採用しています。
ともかく、
商標ブローカーは潰せます。
潰し方を知らないから、恫喝されて言われるがままにお金を払ってしまっているだけなのです。
弁理士に相談してもちゃんとした答えが返ってこない時があります。
弁理士にも、特許が得意な人、商標が得意な人色々といるからです。
特許が得意な弁理士に商標のことを聞いても、あまりちゃんとしたアドバイスは受けられません。本当はそれではダメなんですが。。。
では、商標が得意な弁理士に話を聞いたら大丈夫なのか?
というと、むしろそっちの方が問題が深いのです。
商標で食ってる弁理士ははっきり言って仕事がなくて困っている人が結構います。
そんな弁理士にとって、倫理的に問題があろうが何だろうが、商標登録出願を沢山してくれる商標ブローカーは良いお客さんです。
なので、商標ブローカーによる不誠実な商標登録出願は無意味だ!こんな奴に金を払う必要なんかない!ということを言うと、自分が飯が食えなくなるので言えるのに言わない人がいるのです。
かくいう私は、
飯の種はソフトウエア関連を中心とした特許出願でガッチリ確保しています。
が、中小ベンチャー系のお手伝いをする上で、商標や著作権の知識も必要です。日々の生活の糧は特許の仕事でしっかり稼ぎつつ、「手伝いたい!」と思う中小ベンチャー系クライアントのために商標や著作権のことを色々と調べながら日々をあくせく過ごしているのです。
何が言いたいかというと、
私なら商標ブローカーを潰せます!
ということです。
相談無料!
「一生懸命商売をやってきたのに、変な奴から商標権のことでイチャモン付けられている」
という方はお気軽に御相談下さい。