触れたら負けだと思ってたけど結局我慢できなかったPPAPのハナシ

世間的に話題になった事って言うのは自分が書かなくても誰かが書くと思うので、このブログでは取り上げなくてもいいと思っていました。

適当な記事を見繕って拡散しておこうと思ったんですが、そもそもこの話題自体がショーモナイ話題なのでそれに関する記事を数多く読む気にもならず、
多少読んだ記事の中には拡散しておこうと思った記事がなく、
待てど暮らせど「これこれ!この指摘だよ!」というものが出てこないので自分で書くことにしました。

そもそも登録されない

ヤッコサンの出願は3つ

商願2016-108551
商願2016-128344
商願2016-134012

これらはそもそも商標登録されません。
特許庁が「通さない」という姿勢を示しているということが一番の根拠ではありますが、まぁ特許庁だってちゃんとした理由の元で「通さない」わけで、じゃあ何で通らないのか、ちょっと考えてみます。

理由1.「使用する意思」が無い

よく「商標登録は早い者勝ち」なんて言われます。確かにその通りなのですが前提が抜けています。
最低限、商標登録のためには「使用する意思」が求められています。

第三条  自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

つまり、「他人に売るため」を公言しているヤッコサンの出願はこの条件が満たされないので登録されません。
これについて判断された判例は例えば 知財高裁平成24年(行ケ)第10019号 です。

抜粋すると、

被告は,他者の使用する商標ないし商号について,別紙2のとおり多岐にわたる指定役務について商標登録出願をし,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被告に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったとも認め難い。

(中略)

したがって,本件商標は,その登録査定時において,被告が現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標にも,将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標にも当たらず,本件商標登録は,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に関して行われたものとは認められず,商標法3条1項柱書に違反するというべきである。

どうでしょう?
この裁判の被告はPPAPで話題のヤッコサンではないですが、「・・・登録された商標を収集しているにすぎない・・・」と断じられています。
況や彼の者をや。

理由2.公序良俗に反する

商標法では公の秩序を乱すものは登録されないと規定されています。
この条項はなかなか判断の難しい条項ですが、まともに商売していないのに商標おさえて他人から金を巻き上げるとか、まともな秩序の上で成り立つことじゃないですよね。

第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

(中略)

七  公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

で、実際の判断例を見てみると、 異議2015-900074号 辺りが参考になるかと。

この件は他人がデザインした図形を勝手に商標登録出願して登録したというクズな件で、

本件商標の商標権者は,本件商標の登録出願時において,未だ「COZY」図形が商標登録されていないことを奇貨として,商標権の譲渡による不正な利益を得る目的あるいは申立人に損害を与える目的などの不正の目的をもって,「COZY」図形と酷似する構成よりなる本件商標を登録出願し,登録を受けたものと推認せざるを得ない。
これより,申立人に係る独創性を有する図形と酷似する商標を剽窃し,申立人が当該図形を使用する商品を含む指定商品について,自己の商標として登録出願する本件商標の商標権者の行為は,登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するというべきである。

この条項も、ヤッコサンがやってる事に対しては当然に適用されるかと思います。
「売るため」なんて公言してるのもこの条項を適用する理由になるでしょう。

理由は他にも挙げられますが、俗に言う「商標ブローカー」の出願に対して特許庁の審査で適用される条文は主にこの2つ。
ヤッコサンはダントツで酷い商標ブローカーなので、特許庁や裁判所はこれらの条文の適用に対して躊躇しないと思います。

お次に、
(あり得ないけど)万が一登録されても権利行使は認められない
という事を書きますが眠くなったので次回。

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