(2017/8/20追記修正)
修正前記事に対して抗議を受けました。読み手を不快にさせる過剰な表現がありました事をお詫びし、記事を訂正致します。
「リニア」商標争い、超高速 JR出遅れ、玩具で使えず
http://www.asahi.com/articles/ASH3R2WF0H3ROIPE003.html
こんな記事が出てましたね。
(※2017/8/19 リンク切れを確認
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商標登録を先こされ、JRが「リニア」という商品名のグッズを出せない事態に
「リニア」の商標権、超高速で奪われる JR側は玩具で使えず )
要約すると、
「おもちゃ」とかの商品が指定された「LINEAR\リニア」という商標がJR以外の会社に登録されてしまっているので、JR東海や、許諾を受けた業者が「リニア」のおもちゃを作れない
というオハナシ。
まぁとりあえず、問題の商標登録を見てみますと
登録番号:第5572593号
登録日:平成25年4月5日
出願日:平成24年7月23日
商標:LINEAR\リニア
称呼:リニア
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
住所又は居所:大阪府吹田市岸部南1-20-22
指定商品
14類 キーホルダー、時計etc
24類 クッションカバーetc
28類 おもちゃ、人形etc
こんな感じです。
これだけ見ると、「28類 おもちゃ」が指定されて「LINEAR\リニア」が登録商標になっているので、「LINEAR\リニア」という商品名で「おもちゃ」を作ることは商標権の侵害になるということです。
記事によると、この権利者の人は
「東京のメーカーからおもちゃやTシャツに使いたいという相談がある。将来的には有償で権利を貸したい」と話す。(原文ママ)
と言ってるらしいです。
残念ですねぇ、、、
残念な事は主に2つ
1つは、この記事を書いた記者。
商標について記事を書くのであれば、もう少し勉強して書いて欲しいものです。
少なくとも、「”リニア”の商標が取られちゃった!JRは使えない!」みたいな印象を与える記事は、商標制度に対する世間の間違った認識を増大させるだけの駄目な記事です。
まぁ、大して勉強もせずに間違った認識のまま記事を書けはそうなるのは必然ですが。
もう1つが当然に商標権者
普通にインタビューに答えているようです。
仮にこの商標権者が自らは”リニア”に関する商品の製造販売やサービスの提供を行うことなく、”リニア”の商標権を獲得しただけで収入を得ようとしているのであれば、それは商標法の趣旨とは異なる使い方なわけで法的にもそのような事を認める条文にはなっていないわけです。
また、仮にこの商標権者が”リニア”に関する商品の製造販売やサービスの提供を行っていたとしても、それはこの商標権者独自の商品やサービスであって、リニア新幹線とは別モノ。そのような場合もやはり、リニア新幹線に関する商品の販売やサービスの提供に際して、リニア新幹線の関連だと明確にわかる形で”リニア”と表示して展開することは、この商標権によって妨げられることではありません。世間の人々が”リニア”という言葉を商売の看板として使う場合、大概それはリニア新幹線を目的としたものですよね。
というわけで、この商標権者が、自らは”リニア”に関する商品の製造販売やサービスの提供を行っていない場合には殊更、独自の商品やサービスを展開していた場合であっても、非常に残念です。
というわけで、この”リニア”商標問題に対して、自分なりに正しいと思う見解です。
リニア新幹線はJR東海が開通のために研究、開発、整備、建設を進めている実在の旅客機ですね。そして、世界最速の鉄道として日本国民ならず世界中の人からの注目を集めている一大コンテンツ。その著名度はいまさら説明の必要もないでしょう。
そんなリニア新幹線の模型を作るのであれば、当然のことながらリニア新幹線の開発、運用を行うJR東海の許諾が必要になってきます。(この許諾の是非については色々と議論があるかもですが、今回は割愛)そして、商品化に際して必要な許諾はそれが全てです。
え、じゃあ例の登録商標は?
それについては、法律の条文の説明をする前に、考え方の趣旨を言います。
リニア新幹線のミニチュア模型売るに際して、「リニア新幹線」の大元の提供者の許諾を受けた前提で「リニア」と表示して売る事が、他の誰かに咎められる事などあろうか、いやそんな事ありはしない。
むしろ、そう表示しなければ消費者にとって分りづらいでしょう。
という事。
リンゴ売るときに「リンゴ」って表示して売るのと同じです。
そのような考え方も含めて、商標法26条には、商標権の効力が及ばない範囲について色々と規定されています。
第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
まぁ読み辛い!
というわけで、強調したところだけを読みますと、
「指定商品若しくはこれに類似する商品の品質を普通に用いられる方法で表示する商標」
となります。
わかりますかね。
リニア新幹線のミニチュア模型を「リニア」として売る分には、商品の品質、即ちリニア新幹線であることを普通に表示しているだけですわ。だからセーフ!
また、商標法においては、
「商標登録がどうであれ、その言葉に価値を与えた者こそが、その言葉についての真の権利者である」
ということを示す伝家の宝刀のような判例があります。
かの有名な小僧寿し事件です。
この事件については別のエントリで説明していますが、趣旨を簡単に説明すると、
「小僧寿しチェーンの売り上げは小僧寿しチェーン自身の知名度や広告宣伝活動によってもたらされているものであって、商標権者の商標を使用することによって得られているものではないから、商標権者には小僧寿しチェーンが商標を使用することによって発生した損害は無いし、商標権使用料等の得られるべき利益もない。」
という事です。
仮に、”リニア”という言葉の価値に対して何の貢献もしていない者の商標登録による権利行使が許されるとしたら、それは国家的なプロジェクトであるJR東海のリニア新幹線を利用して無関係な個人や法人が勝手に金儲けすることを許すことになるわけで、そんな商標法なら無い方がいいし、「公序良俗違反」と言っても過言ではないと思うわけです。
こういった考えの延長線として、JR東海によるリニア新幹線の公認グッズであれば、ミニチュア模型に限らず他のおもちゃをはじめとして、商標登録されている商品を作って「リニア」と表示して売ってもセーフだと私は思います。
何故なら、リニア新幹線の公認グッズであることを「普通に」示しているだけだし、商標権者には損害が発生していないから。
JR東海によって正式に許諾されたリニア新幹線の公認グッズを、”リニア”という言葉の価値に対する貢献がなく運よく商標を先取りできた個人・法人や、リニア新幹線とはまったく別で”リニア”という看板で商売をしている者の許諾を受けなければ売れないなんて、おかしな話でしょう?
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で、
私は玩具会社の元社員でして、その古巣ではリニア新幹線の玩具も出していました。
が、私の古巣は「ギコネコ事件」なんかを起こしたりもしていて、知財に関してお世辞にも優秀とは言えなかった会社。まぁ合併してから割とましになったらしいですが。
なのでこの記事が公開されたときにすぐ古巣の同僚に電話して金払わされていないか確認してみたのですが、少なくともその当時は使用料の支払いは無かったようで一安心です。
とまぁ、ここまでが過去エントリに対する追記・修正です。
ただ修正してもつまらないので、久しぶりに件の商標登録に関連する”リニア”に関する商標を調べてみました。
その結果がこちら。
おやおや、”リニア”関連の商標登録や出願が増えているじゃないですか。
中には”リニアモーターカー”なんてものまで。
上から2番目の登録は既に紹介したもの。
一番上のは、まぁほっときましょう。
3番目のものから順にみていきます。
③登録番号:第5600857号
登録日:平成25年7月19日
出願日:平成25年1月18日
商標:LINEAR MOTOR CAR\リニア モーター カー
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
指定商品
14類 キーホルダー、時計etc
16類 文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤etc
28類 愛玩動物用おもちゃ,人形,囲碁用具etc
30類 茶,コーヒー,ココア,菓子etc
32類 清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール
④登録番号:第5725543号
登録日:平成26年12月12日
出願日:平成25年4月19日
商標:リニア
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
指定商品
16類 文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤etc
⑤登録番号:商願2016-129676
出願日:平成28年11月17日
商標:LINEAR MOTOR CAR\リニア モーター カー
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
指定商品
8類 スプーン,フォーク,エッグスライサー(電気式のものを除く。)etc
18類 傘,ステッキ,つえetc
29類 食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品etc
33類 泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒
⑥登録番号:商願2016-129677
出願日:平成28年11月17日
商標:LINEAR\リニア
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
指定商品
18類 傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類
⑦登録番号:商願2017-079683
出願日:平成29年6月3日
商標:LINEAR
権利者
氏名又は名称:有限会社エコー商事
指定商品
35類 広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,求人情報の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,(その他、~の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供といった役務多数)
とこんなところ。
まず商標登録を受ける上での大前提を再度確認しますと、
第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(後略)
「自己の業務に係る商品または役務について」です。
昨今、PPAP等の商標問題で色々と話題になっていましたが、その話題の大量商標登録出願者については、この条文を厳格に適用して対処していくようです。
「俗に、3条1項柱書違反」と言われます。
「でも登録されちゃってるじゃん」
という突っ込みがあろうかと思いますが、よほどの例でもない限り出願時に「使っているか否か」を判断する事は難しいので審査ではスルーされる事も多いです。
では、一度登録されてしまうともう手遅れなのか、というとそうではありません。
「3年以上使ってなかったら取り消し!」という不使用取消審判という制度があります。
第五十条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(中略)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
つまり、商標登録されたとしても、その後3年間使っていなければ取り消されます。
既に登録されているものを見てみると、上から3つまでは既に3年経過、4つ目は2017/12/12に3年経過という状況。
当然、商標権者が登録商標を指定商品・役務に関する商売の看板として使っているのであれば不使用取消審判の対象にはなりませんし、3条1項柱書違反でもありません。
まぁその場合でも、既に書いた通りJRのリニア新幹線に関する商品やサービスの展開に際して、この登録商標を気にする必要はまったくありませんが。
で、実際にこの商標権者が「自己の業務」に対してこの登録商標を使用しているのか否かですが、少なくともネット上にはそのような情報は見当たらないですね。
まぁネットに出ていなくても地域密着等で商売することは十分あり得るので「ネットに出ていないから使ってない」という事にはなりませんが。
ただ、登録商標の指定商品はかなり多岐にわたっています。
それらについて全部使っているとすれば「ずいぶんと手広く商売されているんですね、今時ネットも使わずに」と思ってしまう人は多いのではないでしょうか。
※尚、自身ではまったく商品の販売やサービスの提供を行うことなく他人から使用料を得たという事実が、商標法50条の「通常使用権者」による使用に当たるのかという点について一考があるのですが、長くなるので別のエントリで書きたいと思います。
次に、まだ登録されていない⑤以降の出願について。
商標登録出願というのは特許庁のウェブサイトで審査の経過を確認することが可能です。
というわけで確認してみますと、
こういう状態。
どういう状態かと言いますと、⑤の出願には2017/6/14に、⑥の出願には2017/4/13に拒絶理由が通知されています。
第4条1項各号(第4条1項11号~13号除く)という事なのですが、予想としては、
第四条
七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(後略)
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(後略)
こういったところではないかと思います。
さもありなん。
ただし3条1項柱書違反が通知されていない事にはやはり違和感がありますね。
⑦の出願については(手続き補正指令が出ている以外)まだ審査経過は出ていないですが、”~の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供”といういわゆる「小売等役務」が多岐にわたる分野について指定されると、上記の「3条1項柱書違反」が厳しく判断されるはずなので、万が一登録されるとしても役務はかなり削られた形での登録となるでしょう。
では、既に登録されてしまっている商標はなんで登録されたの?
という疑問が当然に出てきます。
すでに登録されている商標についても審査経過が確認できますので確認してみますと、例えば③の登録に関しては
こんな感じでした。
第3条1項各号、第4条1項16号の拒絶理由が通知されていますが、手続き補正書の提出の上で登録査定となっています。
第四条
十六 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
おそらく、拒絶理由が通知された商品は一部で、それらを削除して登録したという形だったのではないでしょうか。
冒頭の記事が話題になったのは2015年頃、対して既に登録されている商標登録の登録日は遅くとも2014年頃です。
つまり、今審査中の出願と、既に登録されている出願とでは状況が違うわけですね。
何が違うって?
世間の話題性が違います。
やはり特許庁としても批判の的となるような商標は通しにくいでしょう。
ですから、現在審査中の商標登録出願については、既に登録されたものよりも更に厳格な審査が行われるかと思います。
そんな審査でいいの?
と感じるかと思いますし、自分もそう思います。
が、非常に難しい問題を含んでいます。
現在の商標制度というのは、商標登録についてはある程度認めた上で、その登録商標による権利行使が正当なものであるか否か、権利行使を受けた側は本当に金銭を支払ったり使用を中止したりしなければいけないのか、という事を司法の場で判断するという制度になっています。
多かれ少なかれ知財に関する法律はすべてそうなのですが、商標制度は特にその性質が強い気がします。
そうしないと、出願時には商売の準備中でまだ商品の製造販売やサービスの提供を開始していない状態の出願人が登録を受けられない場合が出てきてしまう。そういった出願人の「善意」を信じて、審査では登録査定を下すわけですね。
なので、④までの登録については、特許庁としては性善説を前提とする我が国の法体系に則り、出願人の「善意」を信じる心に基づいて登録査定を下したのでしょう。
他方、リニア商標に関する問題が世間でも話題になった2015年以降、そして、PPAP関係でも商標ブローカー問題が世間的に話題となり、更に、広範な小売等役務が指定された商標登録出願という事態の現在において、特許庁としてもそう簡単に登録査定を下すわけにはいかないのではないでしょうか。
ともかく、JRのリニア新幹線については、民営化されたとは言え元国鉄、我が国を代表し且つ世界に誇る鉄道会社であるJRの一大コンテンツであり、その恩恵はより多くの方に享受されるべきもの。
きちんとした司法手続きを経る事ができれば、その恩恵をJR以外の一個人、一法人が独占できる道理などはありません。
仮にですが、この商標権者が自らは商品の販売やサービスの提供を行うことなく、”リニア”に関する商標登録を集めているのだとすれば、それは当ブログでもたまに言及する「商標ブローカー」と呼ばれる行為です。
他の様々な記事でも書いていますが、単に商標を先取りして自らは商売を行うことなく他人から商標使用料をせしめる、いわゆる商標ブローカー行為は司法の場では認められるものではないのです。
と、話が商標ブローカーに移りましたので、商標ブローカー問題についても少し。
商標ブローカー問題の肝は、「司法手続きには金がかかる」という事です。
色々と書いている通り、きちんと司法の場で判断されれば、真っ当に商売をしている人が商標ブローカー行為によって金を払わされることはまずありません。
が、「裁判になって、弁護士費用も支払って、それで自分の正当性が認められたとしても、それに必要な費用より安く済むのであれば商標ブローカーに金払って終わらせよう」と思わせるのが商標ブローカーの手口ですね。
過去、私が相談を受けた商用ブローカー被害の件でも、相手の商標ブローカーが数万円~十数万円という額を複数の相手からつまむという卑劣な行為を行っていた例もありました。
裁判になって弁護士費用等が発生すれば数十万円という額が必要になってきてしまいます。
それに比べれば、数万円~十数万円で済めばいいや、と思ってしまうのも当然です。
なので現在の商標制度には欠陥があると言えば欠陥があるのですが、
まぁ、性善説に基づく法律というのは大なり小なり欠陥を抱えているものでしょう。
人が悪意をもって法律を利用する事なんて念頭に無いわけですから。
PPAP問題をきっかけとして、「商標ブローカー」の存在をはじめとした商標制度の欠陥が話題となっている昨今。
こういった商標ブローカー被害がなくなるように制度が改善されるといいですね。
割と簡単にできる特許庁側のみで可能な改善策としては、「審査を厳しくする」というもの。
特に上記の3条1項柱書違反や4条1項7、10、15、16、19号の判断を厳しくすれば、商標ブローカーによる商標登録出願は登録すらされなくなります。
他方、そのように審査を厳格化すると、上に書いた通り「これから使う」という立場の出願人による商標登録出願が認められない場合が出てくるという弊害もあります。
司法の場も含めて改善策を検討するならば、商標ブローカーによる権利行使だと認められた場合には弁護士費用その他の損害も含めて商標ブローカー側に費用負担をさせるという事が考えられます。
この辺になるともう弁理士による知財法の領域ではなく民法の領域に入ってくるので、そんな事が果たして現実的なのかわかりませんが。
「商標ブローカー許さん!」みたいな弁護士先生が判例を作ってくれるといいんですけどね。
いずれにしろ、知的財産に関する法律というのは「創る・生み出す」といった事をした人に対する対価を保障すると共に、これから「創る・生み出す」といった事をする人の通り道が塞がれないように交通整理をするためにあるものです。
その中に、法律を狡猾に利用するだけの者の利益が入り込むすきなど微塵もありません。
そういった趣旨が完璧に守られるような運用が実現されてほしいものですし、自分も力を尽くしていきたいですね。
“「リニア」商標の話。世間の報道が中途半端過ぎて。【2017/8/20追記修正】” への2件のフィードバック