OGPと著作権とインラインリンクと著作権法 旧47条の6

インターネットが情報拡散における第一の手段となって久しいですが、中でもTwitter等のSNSによる拡散は現在のインターネットを使った情報拡散において最重要かと思います。

そんな中、OGP(Open Graph Protcol)というプロトコルもまた常套手段として用いられています。

OGPとは何か、見てもらうのが早いかと。
例えば、

これは私のツイートの埋め込みですが、電撃ホビーウェブのある記事のURLをツイートで拡散したものです。
この記事のOGPは以下のように設定されています。

<meta property=”og:locale” content=”ja_JP” />
<meta property=”og:title” content=”『ガンダム』よ永遠に続け、メビウスの輪のごとく!「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト発表会」をレポート!” />
<meta property=”og:description” content=”コンセプトである“BEYOND”に込められた想いとは!?「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト発表会」の模様をレポート!” />
<meta property=”og:url” content=”https://hobby.dengeki.com/event/667975/” />
<meta property=”og:type” content=”website” />
<meta property=”og:site_name” content=”電撃ホビーウェブ” />
<meta property=”og:image” content=”https://hobby.dengeki.com/ss/hobby/uploads/2018/11/20181121gundam02card.jpg” />

このタグの内容と埋め込みツイートの表示状態とを見比べてみると、タグと表示の内容との関係がわかるかと。つまり、ウェブ記事がSNSにて拡散される際の表示内容を規定するためのプロトコルですね。
OGPに対応しているSNSでウェブ記事を拡散すると、上記の<meta property=”og:・・・ />というタグの記述内容に従ってSNS上での表示が形成されるという仕組みです。

※その他、これらOGPタグで指定されている情報をまるっとまとめて「OGP情報」とします。

最近、知財リスクチェックの相談案件にOGP利用に関する内容がチラホラと表れ始めたので、OGPと著作権の関係について考えてみました。

ウェブサイトのリンクを貼る事を禁止する法律はありません。
最近はあまり目にしなくなったものの、「リンクフリー」なんていう言葉がありますね。
が、ウェブサイトのオーナーが「リンクフリー」を宣言しようがしまいが、インターネットはどこでもリンクフリーです。

で、OGPを利用した記事の拡散の基本的な段取は以下の通り。

・OGPに対応したSNSを用いて記事のURLを投稿(Twitterであればツイート)する
・そのURLのウェブサイトにおいてOGPタグで規定されている上記の「タイトル」「本文」「アイキャッチ画像」等のOGP情報が、SNSのサーバーによって取得される。
・取得されたOGP情報が、投稿されたURL(リンク)と共にSNS上の投稿として表示される

つまり、拡散を行う人(典型的にはSNSユーザー)の行為は、基本的には拡散対象の記事のURLを貼るだけです。
従って、SNSユーザーの基本的な行為が違法性を問われる可能性は低いでしょう。

そして、SNSを運営するプラットフォーマーが、ユーザーによって投稿されたURLの記事のOGP情報を取得して表示する行為に関しては、それらの情報がOGPタグで指定されている以上、記事の提供者による許諾宣言があると言えるでしょう。
ただし、記事の提供者が他人の著作物を無断で使用している場合、そのような情報がOGP情報となっている場合が別ですが。。。

[OGPタグで指定する]=[「どうぞSNS拡散の際に使って下さい」という意思表示]

と言ってしまってもいいと思います。

今回検討するのはそのようなOGPの基本的なフローではありません。

「OGP情報なら自由に使っていいんじゃないの?」

という疑問について考えてみたいというものです。
例えば、特定のテーマに関連する記事のリンク集を作るという場合に、それぞれの記事のOGP情報を読み出して掲載する(キュレーション的な)行為は著作権の侵害となるのか?みたいな事を考えてみたいと思います。

便宜的に、このような行為を「OGPキュレーション」とでも呼びましょう。

1.転載される内容は著作物か?

OGPを用いて転載される内容は主に「タイトル」「要約」「アイキャッチ画像」です。
<meta property=”og:title”  のタグで規定されるのが「タイトル」
<meta property=”og:description” のタグで規定されるのが「要約」
<meta property=”og:image” のタグで規定されるのが「アイキャッチ画像」ですね。

つまり、これらのそれぞれについて「著作物性」が認められるのであれば、まずは著作権による保護を検討する価値が生まれてくるという事になります。
「アイキャッチ画像」なんかは著作物である可能性が高そうです。その他、芸能人をはじめとした人間の写真であれば肖像権なんかも関係してくるんでしょうか。
著作物性無しという事例なら検討する価値も無い話ですので、ここでは、全部ひっくるめて著作物性がある前提でいきます。

2.単なる「リンク」ではない。

今回検討するのは、上記の通りOGP情報を取得してキュレーション的に表示する行為です。
つまり、キュレーションサイトを作る者の行為が「URLを指定すること」であったとしても、それに加えて、
・指定されたURLのHTMLからOGP情報を抜き出す
・抜き出したOGP情報を表示する
という命令も含まれるので、「URLを指定すること」つまり「リンクすること」が伴っているとしても「単なるリンク」ではありません。

従って、リンクを貼る行為が法的に許されているとしても、今回検討対象とする行為はその筋で許されるものではないという事ですね。

このような態様は「インラインリンク」と呼ばれる態様に類似しています。

3.インラインリンクとは

「インラインリンク」という言葉が明確に定義されているかと言えば自分は「No!」だと思うのですが、とりあえず自分が「インラインリンク」という言葉に関して持っている第一のイメージは、

・ユーザーがURLを叩いて直接閲覧しているウェブサイト内に、「他のウェブサイト」が埋め込まれて表示されている

というもの。

これを出発点として、「他のウェブサイト」が単なる画像であったり、YouTubeやニコ動等の動画であったり、Twitterのツイートであったりと様々な拡張を見せているのが今日の状況だと思います。

で、

ここで困った事に、そもそもウェブサイトにおいて画像が表示される仕組みは、通常の場合も、ここで「インラインリンク」と呼んでいる場合も一緒なんですね。

ウェブサイト上に画像が表示される仕組みは、元であるHTMLデータ内に画像が入っているわけではなくて、画像が保存されている場所を示すURLがHTML内に記述されているだけ。

そのURL、つまり画像の保存されている場所がHTMLデータが保存されているサーバーと同一のサーバや、同一管理者や一定の権限を共有している者のサーバーである場合には通常の画像表示で、異なる管理者のサーバーである場合にはここで言う「インラインリンク」です。

「直リン」なんて呼ばれたりもしますが。

なので、本稿における「インラインリンク」を一応定義しておこうと思います。

・HTMLデータの作成者、アップロード者とリンクによって表示される画像(コンテンツ)のアップロード者とが異なる。

・HTMLデータが保存されたサーバーと、リンクによって表示される画像(コンテンツ)が保存されているサーバーとが異なり、サーバーの管理者も別である。

・ウェブサイト内にインラインリンクを作成したHTMLデータの管理者は、インラインリンクによって表示される画像(コンテンツ)に関して、なんら権限を有していない。

こんなトコロかと。

こう書くと、なんとなくギルティな感じもしますね。
やってることは「HTMLにURLを記述しているだけ」ですが、他人のものを勝手に使用していることに変わりは無いわけです。

なので、まずはインラインリンクに関する判断例を整理してみたいと思います。

4.インラインリンクに関する判例

ロケットニュース24 ニコ動直リン事件(大阪地裁 平成23年(ワ)第15245号)

・原告がニコ動で動画をアップロードした。
・ロケットニュース24がその動画を直リン(インラインリンク)してロケットニュース24内の記事で再生可能にした。
・原告がロケットニュース24を著作権侵害で訴えた。

結論は、「著作権侵害ではない」

いきなり結論が出てしまっている感じですが、、、できれば知財高裁判決がほしいところです。

具体的な判決文を追ってみます。

<原告動画の著作物性について>

原告が上半身に着衣をせず飲食店に入店し,店員らとやり取りするといった特異な状況を対象に,主として原告の顔面を中心に据えるという特徴的なアングルで撮影された音声付動画であって(甲3,4),一定の創作性が認められる

「上半身に着衣をせず飲食店に入店し」という部分がちょっと気になりますが、ともかく創作性有り、著作物性有りです。

<公衆送信権侵害の有無について>

すなわち,閲覧者の端末上では,リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ,本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで「ニコニコ動画」の管理者であり,被告がこれを送信していたわけではない。したがって,本件ウェブサイトを運営管理する被告が,本件動画を「自動公衆送信」をした(法2条1項9号の4),あるいはその準備段階の行為である「送信可能化」(法2条1項9号の5)をしたとは認められない。

<幇助について>

本件動画は,著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが,その内容や体裁上明らかではない著作物であり,少なくとも,このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い。そして,被告は,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき,原告から抗議を受けた時点,すなわち,「ニコニコ動画」への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している。

 このような事情に照らせば,被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは,原告の著作権を侵害するものとはいえないし,第三者による著作権侵害につき,これを違法に幇助したものでもなく,故意又は過失があったともいえないから,不法行為は成立しない。

こんな感じ。

最終的には、「抗議を受けた時点で削除した」という部分が効いたのでしょうか。

個人的には、動画を見せる事だけが目的なのではなく、動画を直リンによって見せて紹介した上で、記事として批判、批評するという点が被告側の目的のようですので、その辺も判断に影響しているのではないか。つまり、本件では争点にはなっていませんが、著作権法上の「引用」に該当するという議論も不可能ではない中で心証が形成された結果での判断ではなかろうかと思ったりもします。

にしても、せっかく訴えたんなら控訴して知財高裁判決が欲しかったな。。。

この他、リツイートは送信可能化権の侵害にはならないけど、画面上でトリミングされるから同一性保持権の侵害になる(平成28年(ネ)第10101号)とか、違法アップロードされた画像への直リンは公衆送信権侵害の幇助となる(平成28年(ワ)第2097)とか、あるにはあるのですが、「インラインリンク」「直リン」に関する判例、特に、正当にアップロードされたものに対する「インラインリンク」「直リン」が争点となっている判例はまだまだ少ないようです。

ロケットニュース24の判断でいけば「基本セーフ」ということになるのでしょうか。

5.保存キュレーションとインラインリンクとの差は無いに等しいのでは?

そんなわけで、現状の判例では、正当権限の元でアップロードされたコンテンツへの「インラインリンク」は法的には問題ないという結論になるのかもしれません。

が、保存キュレーション、つまり動画なり画像なりを自分のところにダウンロードして、それを自分が管理しているサーバーにアップロードして自サイトに表示させたら、それは当然に複製権や公衆送信権、送信可能化権でアウトになるわけです。

でも、ウェブサイトを閲覧するユーザーにとっては、「サイトを見たら、そこに画像や動画が表示された」ということで、まったく違いなんてないんですよね。
表示されている画像や動画等のコンテンツがどこのサーバーに保存されているかなんて、ユーザーにとってはどうでもいい事です。

「インターネットの利用」において、ある程度の自由度はあって然りとも思いつつ、

例えば、自分がこのサイト内で、企業のウェブサイトにアップされている画像や、カメラマンさんが自身で公開している画像等をバンバン直リンして、さも自分の画像のように見せていたらどうでしょう?
程度の問題という部分もあるとは思いつつ、やっぱり気持ちのいいものではないと思います。

こんな感じで「インラインリンク」に関しての雰囲気を漠然と掴みつつ、本稿の目的であるOGPの話に戻りたいと思います。

6.OGPに戻って、「許諾」が宣言されていると言えるか?

さて、ロケットニュース24の判例だけから考えれば「インラインリンク」はセーフと言う事になり、そうすると情報拡散の手段としてタグ付けされているOGP情報は尚更セーフと言う事になる。
なのでもうこの話は終わってしまうものの、、、

しつこいようですが判例は地裁判決が1件だけです。
今後、正当権限の元でアップロードされたコンテンツに対する「インラインリンク」「直リン」に関して、「何もかもアウト」とまではならずとも、「一定の条件下でアウト」という風に判断が変わっていくことは十分あり得ると思います。

そうなった時に、上記の通り「OGP情報をOGP本来のフローに従って“SNS上で”表示させる行為」に関して著作権侵害を検討するのは野暮ってもんですが、今回検討対象とするOGPキュレーションはどうでしょう?

「リンクによる情報拡散の際には、どうぞこれらの文章や画像を使ってください」

という意思表示ともいえるプロトコルなわけです。
なので、何某かの「許諾宣言」的なものがあるのは間違いないのではないでしょうか。
少なくとも、OGP本来のフローに従って、
・ウェブサイトに対象サイトのURLを記述する
・ユーザーがそのウェブサイトにアクセスすると、URLが記述された対象サイトのOGP情報がURLに基づいて読み出される
・読み出された情報をウェブサイト上に表示する
という手順であれば、SNS上の投稿に限らず許されるんじゃなかろうかと思います。

7.「引用」と言えるか?

次に考えたいのは「引用」です。
私は、ネット上の画像や動画などのコンテンツ利用に関しては、大部分で引用が認められていいと考えています。

単に「そのコンテンツだけ」を見せるようなやり方は論外ですが、画像や動画を見せた上で、なんらかの文章を書くという場合、特に、その画像があった方が書こうとしている文章の理解度や面白さが上がるのであれば、それは基本的には引用として認めていった方がいいのではないかと。
権利者の利益が大事ななのは当然なので、そこが不当に害されるような事が無いというのが大前提ですが。

特に「インラインリンク」「直リン」による方法であれば、文字通り「引用」、引っ張ってきて、用いているわけですしね。

8.本来の権利者か?

「インラインリンク」「直リン」に関する既存判決においても、対象の動画や画像が違法にアップロードされたものである場合には厳しい判断がされているように思います。

従って、OGP情報、特にOGPタグで指定されている画像が違法にアップロードされたものであれば、OGP情報であったとしても同様に厳しい判断がされる事は間違いないでしょう。
そもそも、その画像をOGP情報として指定するような権限を有さない者によってOGPタグが付されているという事ですからね。

情報を拡散する際、拡散対象の情報の真偽や権利侵害の有無を確認する事は、今やネットユーザーの当然の義務となっていると思います。

9.著作権法 旧47条の6は関係あるか?

という事で、ずいぶんと遠回りしましたが、「OGPと著作権」というテーマに関して当初結びつけて考えながらも、ちょっと考えたら全然関係ない事に気づいてしまった旧47条の6に関してです。

この記事を書こうと思い立った後、モタモタしていたら対象の条文が改正されて無くなってしまいました。。。orz

もうこのセクションは省略してしまってもいいのですが、とにかくこの記事を書こうと思ったきっかけがココだったのでオマケ程度に書いておきます。
尚、旧47条の6は、現行法では47条の5に包括的に含まれるという位置づけです。

まずは条文を見てみましょう。(旧47条の6)

(送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等)
第四十七条の六 公衆からの求めに応じ、送信可能化された情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。以下この条において同じ。)を検索し、及びその結果を提供することを業として行う者(当該事業の一部を行う者を含み、送信可能化された情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、当該検索及びその結果の提供を行うために必要と認められる限度において、送信可能化された著作物(当該著作物に係る自動公衆送信について受信者を識別するための情報の入力を求めることその他の受信を制限するための手段が講じられている場合にあつては、当該自動公衆送信の受信について当該手段を講じた者の承諾を得たものに限る。)について、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行い、及び公衆からの求めに応じ、当該求めに関する送信可能化された情報に係る送信元識別符号の提供と併せて、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物(当該著作物に係る当該二次的著作物の複製物を含む。以下この条において「検索結果提供用記録」という。)のうち当該送信元識別符号に係るものを用いて自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該検索結果提供用記録に係る著作物に係る送信可能化が著作権を侵害するものであること(国外で行われた送信可能化にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知つたときは、その後は、当該検索結果提供用記録を用いた自動公衆送信(送信可能化を含む。)を行つてはならない。

長くて読みづらいですが、

Googleなんかの検索エンジンのサービス事業者はURLと一緒にそのサイトに関係するコンテンツの複製物を公衆送信してもいいですよ

って趣旨の条文です。

まぁ、インターネットにおいて当たり前に行われている事を当たり前に許可しただけの条文ですね。
ただ、ここで複製や公衆送信が許可されている「・・・当該送信元識別符号に係るもの・・・」として、OGP情報というのは最適なのでしょう。

とまぁ、当初考えていた内容とは全く異なる内容の記事になってしまいましたが、とにかく今後も「インラインリンク」「直リン」に関する判例から目が離せません。

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