【オマケレポート】J-PlatPatによる特許検索講座&パフォーマンス

すでにイベントレポートを公開しましたが、特許検索の仕事を完遂する上ではまだゴール前、補足するべき点が残っているのでオマケレポートとして書いておきます。

1.抽出文献を遡る

イベントでは特開2007-128131が抽出された段階でほぼ終了ムードでしたが、仕事として完結させるためにはまだ数段階の作業があります。
まず、抽出された文献(以降、「抽出文献」)に関しては主に
・登録状況の確認
・引用文献の確認
の2つを行います。

検索テーマに関して非常に近い文献が抽出されたわけですから、その文献が検索の目的に対してどのような影響を及ぼすのか確認しなければなりません。
例えば、検索の目的が実施事業の侵害調査であれば、抽出文献によって特許権が発生しているか否か、その特許権の侵害となるのか否かを確認します。

「経過情報」を観る限り、抽出された文献は拒絶査定となっており、特許権は発生していませんでした。

その場合、次に確認しなければいけないのは、抽出文献が拒絶査定となる要因となった文献です。
抽出文献を拒絶査定にする内容ということは、即ち抽出文献よりも広い権利範囲が認められている可能性があります。
同じく「経過情報」の「拒絶理由通知書」を確認すると、引用文献として以下の3件が引用されています。
1.特開2003-228535号公報 →未審査請求
2.特開2004-240638号公報 →拒絶査定
3.特開2004-078559号公報 →未審査請求

いずれも特許権は発生していないようですが、ここでも「拒絶査定」となっている文献がありますので、更に拒絶理由を確認します。
すると、文献が引用されて拒絶になったのではなく、36条第4項第1号、いわゆる実施可能要件を理由として拒絶されており、引用文献はありませんでした。
ということで、文献を遡っていく作業はここで終わり。
検索目的のテーマに関する事業を実施することによって特許侵害となってしまうような権利は、少なくとも抽出文献に関係するルートには存在しないということになりました。

2.漏れのない検索を行うために

イベントに於いては、「8.FI、Fターム階層見極め」の段階でめぼしい文献が抽出されました。
実際の仕事においてもこの段階や、それ以前の段階でかなり近い文献が抽出されることはあるのですが、だからといって仕事は終わりではありません。
「危ない文献が他にない」ということは、どこまでいっても証明できない悪魔の証明です。

が、

その悪魔の証明のリスクを少しでも減らすことはできます。
イベントレポートの通り、イベント当日においては、

[G09C1/00/FI] (暗号化に関するFI、メイングループまで限定)
and
[5B017BA00/FT (記憶装置の秘密保護に関するFタームのテーマコードに「方式」の観点まで限定)
 or 5B017CA00/FT] (記憶装置の秘密保護に関するFタームのテーマコードに「対象」の観点まで限定)
and
検索オプションにて、主テーマに[5J104] (暗号化・復号化装置及び秘密通信に関するFタームのテーマコードまで限定)

という検索式の抽出件数が2517件だったところに、
「ファイル共有」、「ファイル転送」、「ファイル送信」というキーワードをorで「要約/抄録」を対象として絞り込んだ結果として、8件が抽出され、そこに上記の抽出文献が含まれていました。

従って、この「ファイル共有」に関するFタームを追加して絞り込みをかけることにより、最終的な検索式として妥当な抽出件数になるところを探っていきます。

抽出文献のFタームを確認すると、

5B082 計算機におけるファイル管理
 HA05 ファイル転送処理
5B084 計算機間の情報転送
 AA00 構成要素(装置)
  AA12 配信サーバ
 AB00 構成要素(転送データ)
  AB36 ・認証情報
  AB39 ・ユーザ情報
 BB00 課題/目的
  BB16 ・セキュリティ向上
 CB00 コンテンツの加工
  CB04 ・・暗号化
 DC00 転送制御
  DC02 ・・サーバ→クライアント
  DC03 ・・クライアント→サーバ

この辺りが使えそうです。
これに基づいて階層を検討すると、

[5B082HA00/FT or 5B084AA00/FT or 5B084AB00/FT or 5B084BB00/FT or 5B084CB00/FT or 5B084DC00/FT]

と言ったところでしょうか。
あまり絞り込める気がしませんが、とりあえずやってみます。

すると結果は175件でした!
これは割と、全件確認するのには現実的な数字なのではないでしょうか。
ちょっと減りすぎていて漏れが怖いので、ここから更に階層をいじるなり、Fタームをタームの「観点」を増やすなりして絞り込みを調節していったりします。

こんな感じの作業をお行うことにより、最終的に抽出結果を全部見る対象の検索式を確定して、「無いことを証明する」という悪魔の証明のリスクを少しでも減らして、特許検索を仕事を完遂します。

3.イベント当日の裏話

そんなこんなで、オマケレポートを終了しますが、最後にイベント当日の裏話をおひとつ。

レポートでも書いた通り、当日は3件の検索テーマを頂きました。その一つを採用させて頂いたわけですが、採用しなかったテーマの一つに以下のようなものがあります。

 事前準備として、ユーザー端末に対してユーザーの公開鍵とスマートロックのIDを含む証明書を発行し、開錠手続きの際、スマートロックがユーザー端末から受け取った証明書を確認し、成功したら乱数を生成してユーザー端末に通知し、ユーザー端末が受け取った乱数を秘密鍵で署名して再度スマートロックに受け渡し、スマートロックが、受け取った署名をユーザーの公開鍵(上記で確認したもの)で検証する

ヒアリングしながら「随分と具体的だなぁ」とは思いつつ、この技術のエンジニアの方だという事は存じ上げていたので、「公知技術として権利化できなくなりますからね」と再度念押ししてヒアリングしました。

そして、イベントが粗方終了してアフタートークの最中に衝撃のひとこと。

「これ、実は自分が過去に出した特許の内容なんですよ」

あ~、なるほど。だから具体的だったんですねぇ~、

って、ちょっと待て!

つまり、抽出されるべき文献があることが確定しているって事ですよね!?
もしこれを検索テーマとして選んでいて、そしてそれを抽出できていなかったらと思うとゾッとします。。。

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