「特許を取る意味」の答えは自分の中にしか無い、という話 ~泡銭をせしめようとする輩への皮肉を込めて~

弁理士をやっていると「特許を取る意味って何ですか?」という質問を受けることが日常茶飯事です。

この質問、非常に単純なのですが、弁理士が受ける質問の中で一番難しい、というかその質問だけ受けて弁理士側から「こうです」という回答をすることは不可能な質問だと個人的には思っています。
クライアントと十分な対話をすることなく一方的に「こうです」という答え方をしてる弁理士がいるとすれば、最悪それは出願案件欲しさに質問者を騙してでも出願させようとしたりしてんじゃないかと思ったり。

自分自身も過去には自信をもって「こうです」と答えていた頃もあったような気がしますが、なんとも未熟だったなと思う次第。

この質問に真に答えるためには、質問者(が属する組織)の事業内容や経営方針の熟知が必要なのは当然のこと、その他にも理解しておくべきことがたくさんあり、昨日今日知り合ったような相手に対して質問に対してサクッと直接回答することは現実的には不可能かと思います。

最近では、質問者の状況を考慮しつつ対話を重ね、「答える」というよりも「一緒に考える」という形で質問者の納得感を目指している次第。
(※「こうです」みたいな感じで拙速な回答を求めている質問者は当然ながら脱落していきますが、まぁそんな客は要りません。)

というわけで、昔に「こうです」みたいな回答をしてしまったことへの贖罪も込めて(回答した相手はこんなとこ見てないでしょうけど)、「特許を取る意味」をどのように考えればいいのか、現在自分が考えていることを書いてみようと思いますが、先に結論を言っておくと、特許を取ると一口に言っても様々な要素、様々な効果があるし、出願のしかたによっても変わるので、それらを全て理解した上で自分なりの「特許を取る意味」を見つけて下さい、ということです。

1.事業規模により違う
2.一件の出願単独では、出願に要した費用を現金として回収できる可能性は低い
3.そもそも特許権の効力とは?
4.目に見えない利益を考える
5.「審査される」ことの意義、自社の強み・自社の技術が文章化され、公的に認められることの意味とは?
6.原材料費や開発費がほとんど必要ない技術やサービスでの特許の考え方と、それに対するアンチテーゼ

1.事業規模により違う

まず、当然の話として特許を取る意味は事業規模により異なるという事。

毎日のように特許出願を行っているような大企業は1件1件の特許出願をそこまで大切に考えていません。
大企業で働いている方の中には、「そんなことない!」と反論したい方もいると思いますが、断固として言い切ります。私個人の物差しは中小ベンチャー企業の物差しに合っていますんで、その物差しで測ると大企業は1件1件の特許出願を大切にしてるとは言えません。

大企業は常に競合他社と特許を手札としたゲームをやってますんで、その手札を山札から引くがごとく特許出願を行います。
手札がゼロになれば戦えませんので特許出願をやめるわけにはいかず、いつからか「特許出願する事」が目的になっていて、「特許を取る意味」を深く考える暇もありません。
とにかく手札をドローしなければいけないので、ドローが空振りになるリスクも含めてガンガンドローします。

言ってみれば占術の無い選択のようなもの。
分割出願等を行って予言にしたり、競合他社の製品や特許を念頭に魔性の教示者にしたりはしますが。

他方、日常的に特許出願を行うわけではない、そのような余裕のない中小ベンチャー企業はどうでしょうか。
無駄な金を使うわけにはいきませんから、「特許出願する意味」を深く深く考え、一件一件を魔性の教示者にする必要がありますし、その魔性の教示者が必要なのか否かも慎重に検討することが当たり前です。
マナを無駄にはできません。
(※すいません、MTGネタはここまでにします。)

何が言いたいかというと、以降の話は大企業は対象外ということです。

2.一件の出願単独では、出願に要した費用を現金として回収できる可能性は低い

特許というとまず思い浮かぶのはやはり「儲け」でしょうか。
「他社から特許料を徴収して儲けたい。」
「亀の子束子って特許で儲かったんだよね!?(ちと古いか?)」
というイメージが強いのかなと思います。

が、はっきり言って特許を一件だけ取得したとして、その特許を取得するために要した費用の額を現金として回収できる可能性は非常に低いです。

例えば日本国内において特許を取得するために特許庁に支払う費用と弁理士に支払う費用との合計で50万円を要したとします。(様々ですが、50万円というのは最低ラインで、審査の経過や出願の内容、弁理士それぞれの値段設定等で変動、基本的にはこれより高くなります。)

で、その費用を現金で回収するとしたら最低でも50万円を誰かから徴収する必要があるわけです。
徴収できるとすれば、それはその特許を侵害して商売している人からなんですが、仮に侵害している人がいたとしても、その人が自発的に「侵害してるんでお金払います」なんて言ってくることは到底あり得ませんね。

侵害者から特許料を徴収するためには、少なくとも
・侵害者の発見
・侵害者への警告
・(従わなければ)交渉、訴訟
という過程を経る必要があります。
文章にすれば3行ですが、1行1行が途方もない労力を要する事だというのは想像できるでしょうか。

で、その途方もない労力を要することを自分でできるかというと、知識のない人が全部自分でやるのはやはり難しいでしょう。弁理士や弁護士に依頼する事になります。
そうすると当然お金がかかってきますので、50万円を回収しただけでは赤字です。
特許権に基づいて他者から特許料を徴収するために専門家に支払う額も含めて回収できなければ、特許を取得するために要した額を回収できたことにはなりませんし、自分自身が動く時間についても対価として考えなければ本当の意味で回収できたとは言えないでしょう。

結果的に、50万円を費やして特許を取得したとして、真の意味でその費用を現金として回収できたというためには侵害者から一体いくら回収できればいいのでしょうか。倍の100万円でも到底足りないのではないでしょうか。

技術の内容や事業の内容など、それぞれで難易度に差は出てきますが、1件だけ特許を取得したとして特許取得に要した費用の額を現金として回収することは非常に難しいという事がお分かり頂けるかと思います。

出願に要した費用を現金で回収することが難しいのであれば、特許出願なんて大半は無駄に終わってしまうということになるのでしょうか。
現金収入を得ることだけが目的だということであればそうかもしれません。

3.そもそも特許権の効力とは?

(特許権の効力)
第六十八条 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。(略)

これは特許法において特許権の効力を規定した条文ですが、この条文のベースとなる民法の条文があります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法において広く他人の権利に対する損害賠償が規定され、そのうちの「技術の権利」について規定されたのが特許法であり、特許法68条が特許権者の権利、つまり民法709条で保護されるべき権利の1つとして規定されている形になっています。

また、民法では規定されていない特別の規定として、特許法では差止請求権が規定されています。

(差止請求権)
第百条 特許権者又は(略)、自己の特許権(略)を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

大まかに挙げれば、民法709条による損害賠償請求権、特許法100条による差止請求権の二つが、特許権の効力です。
既に「難しい」と説明したところですが出願に要した費用を回収するためには、これらの効力を用いて侵害者に警告を行い、特許料の徴収を目指すことになります。

4.目に見えない利益を考える

特許の実施料という形で目に見える利益だけを考えれば、上記の通り1件の特許で元を取ることは難しいと言わざるを得ません。

しかしながら、物権的な価値を与えられていることから考えれば、特許の実施料による目に見える形での利益は副次的なものであって、特許権の本来の価値はそのような目に見える利益を上げるためのものではないとも言えます。
物権的価値というのはつまりモノを独占的に所有する権利ですが、お金を出して何かモノを買って所有したとして、所有しているだけで利益が上がるということがあるでしょうか。
モノを所有するというのは基本的には自己満足ですよね(ヲタク的発想)。
実用的で金儲けに利用できるモノだったとしても、その利益はそのモノを使用して機能を発揮させることで得られるものであって、所有することで得られるわけではない。
見物料を徴収することができるような貴重なモノを所有したとしても、所有しているだけではなく見物料を徴収するための設備や仕組みを整える必要があります。

これが、モノの価値。

そこで、特許権を「物権」たらしめている差止請求権について考えてみます。

損害賠償請求権は現金を回収するための手段ですが、差止請求権は特定の行為(特許侵害行為)をやめさせるための手段で、物理的なモノではない特許について「物理的に所有している」という状態を擬似的に実現し、「業として特許発明の実施をする権利を専有する」という特許権の効果の実効性を担保するための権利です。

これが完全に効果を発揮するのであれば、

「~の機能を搭載した商品(サービス)を提供するのは当社のみ!」

という状態を実現することができるので、その商品やサービスの市場での価値を高め、収益を拡大させることで利益を上げることが可能になります。
その利益は商品やサービスを提供することによって得るものなので、特許の効果によって得られたものなのか、それとも特許の内容とは無関係に商品やサービスが需要者に受け入れられたから得られたものなのか、その答えを確認することは非常に難しいでしょう。
現実世界には if はありません。

特許の効果を実感できるとすれば、それは特許を取らなかった結果として他者に真似され放題で、自社サービスの優位性が保てなくなり、「特許とっとけば良かった」という残念な結果になったときだけです。

5.「審査される」ことの意義、自社の強み・自社の技術が文章化され、公的に認められることの意味とは?

法的に明記された特許権の効力は上記の通りですが、それ以外の特許権の効力を考えてみます。

まず、特許が登録されるためには特許庁によって「審査」される必要があります。
この「審査」には様々な項目がありますが、大きなところとして自分が考えているのは、
・技術として新しいものであるか
・独占権が与えられる範囲が明確になっているか
の2点。
その他、公序良俗に反しないかとか色々とありますが、大きくはこの2点です。

まず、「技術として新しいものであるか」ですが、これはいわゆる新規性、進歩性というやつですね。
そして、それを調べるために調査が行われます。

この「調査」、出願された技術が新しいものであるか否か、既に同様の技術が世の中に存在しないかを確認するために行われるのですが、その結果として、出願人は類似する技術の存在、出願の存在を把握することができるわけです。

私は弁理士の中でも比較的特許調査を得意としている方ですが、それを特許庁がやってくれるということです。
(※私が対応する場合には特許庁の審査とは違うメリットを提供していますが!)

特許として登録されるか否かに関わらず、これは非常に大きな効果で、「事業上で危ない特許が存在しないか、先行例調査も兼ねて出願する。登録されたらなお良し。」という方も少なくありません。

次に、「独占権が与えられる範囲が明確になっているか」です。

技術というのは、開発の段階では輪郭の曖昧なものです。
別にそれは悪いことではありません。
技術というのは何らかの目的、解決するべき課題が存在することが前提です。
その目的や課題解決が満たされる限り、その技術は曖昧な輪郭の内側にあるということになります。

他方、独占権を与えるからには、曖昧な輪郭をクッキリさせる必要があります。そのための手順や基準を規定して実行的に運用するのが特許法の存在や特許庁、そして我々弁理士の使命。

第三十六条 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
 ・・・
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
 ・・・
6 第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
 ・・・
 二 特許を受けようとする発明が明確であること。
 ・・・

つまり、特許出願をして特許として登録されるということは、技術の曖昧な輪郭をクッキリさせるという効果があるわけです。
(※なんでこんな36条6項違反の不明確な特許が登録されてんだ!?と思うことは日常茶飯事だけど。)

以上の2つが特許として「審査」されることの効果ですが、その結果として得られるものはなんでしょうか。

一番は特許証、特許公報の存在でしょう。
自身が権利を有する技術として明文化され、国によって公報されます。

当たり前のことなのですが、ドローのごとく特許出願を行う企業はともかく、一件一件の特許出願を大事にして特許技術に事業の命運をかけていく企業にとっては大事なことなのではないでしょうか。

これに価値を見いだせるかどうかは経営者として重要な素養だと個人的には思っています。

経営者は様々なことを言葉で伝えなければいけない場面に数多く直面します。
技術で言えば、「自社技術の強みは~です。」といった具合。
そんな時、単に自分達が言ってるだけの場合と、特許として明文化されている場合とでは説得力に大きな違いが出ます。
何よりも、特許として登録された請求項の言葉を用いることができるため、「自社技術の強みは~です。」という言葉自体が具体的になり、より伝わりやすくなるでしょう。

つまり、特許として登録されるということは、「権利になる」ということだけでなく、輪郭が曖昧な状態だった技術が「審査」を経て文章として明確になると供に、その出願時点において他者には追いつけない技術であったということが国によって保証される、ということ。それにより自社の強みが明文化され、他者に伝えやすくなるということ、です。

個人的には、現状これが特許を取る一番の意味だと感じています。
上でも書いたように、ドローするように特許出願をするような企業では、ここには大きな意味を感じないでしょう。
他方、一件一件の特許に対して社運とまではいかないまでも事業の命運がかかっているような企業であれば、この意味は大きいのではないでしょうか。

正直なところ、自分が特許で最もやりがいを感じる瞬間に引っ張られているところはあります。
商品やサービスに対して強い思い入れがあり、そのキモとなる特許出願を行い、それが特許として登録されたときのクライアントの喜びよう。届いた特許証を額縁にいれて会社のシンボルとして飾っている光景。そのシンボルにより更に高まる社員のボルテージ。

これこそ特許の意味だ!

と強く思うわけです。
特に、「何人もの弁理士と話をしたけどピンとこず、ようやくピンときたので出願を依頼した。見つけられて本当に良かった。」なんて言われた日にはたまんないです(自慢話)。

安っぽい精神論的に聞こえるかもしれませんが、理念や精神論を大事にしている企業は、大跳ねしなくとも堅実に、且つ社員が楽しんで成長していっているなと思いますし、その企業の仕事をしていて楽しいと感じます。
(※当然ながら、精神論というのは社員に根性的なものを強要するという意味ではなく、あくまでも企業としての姿勢、理念があるか否かという話です。念の為。)

このように、「出願」→「審査」→「登録」→「公報」という一連の特許の流れの中で発生する様々な要素、活かすも殺すも自分次第ですが、企業経営の中で役に立つことはたくさんあると思いますし、これが活かせない経営者ってどうなんすかね。

6.原材料費や開発費がほとんど必要ない技術やサービスでの特許の考え方と、それに対するアンチテーゼ

とまぁ精神論ばかり言ってもアレなので、再度現実的な話に戻します。

自分は技術的にはソフトウェア関係が専門で、弁理士になる前も含めてかれこれ20年近くこの業界にいるのですが、過去、担当した1000件以上の案件のうちどんなに少なく見積もっても7割以上はソフトウェア関連の特許出願です。

で、

残りの3割のうち半分くらいはプロセス、製造技術に関するもので、その中にもフィードバック制御等ソフトウェアに関するものも含みつつ、ソフトウェアに全く無関係なプロセス関連の発明が1割弱程度あったりします。
また、1~2割くらいの割合で機械や構造的な発明があったりします。

そんなプロセス関連や機械・構造系の発明と、ソフトウェア関連の発明とで感じる決定的な違い、それは、

この出願のためにまったく金かかってねぇな。。。

ということです。

どういうことかというと、プロセス関連や機械・構造系の発明の場合、特許出願をするレベルまで技術を確立させるためにはある程度のデータや試行錯誤が必要です。
中には、完全に机上の空論状態で出願される場合もありましたが、大半は実験や試作を行い、目的に沿った効果が得られるか確認した上で、効果が得られる技術を対象として特許出願が行われます。
つまり、実験や試作のために実際にお金がかかっています。
自分は専門外なので全くの未経験ですが、時世的に話題な薬剤関係とかになると、特許出願に際して弁理士や特許庁に支払う費用が誤差レベルに感じられる程の費用がかかっていることでしょう。

他方、

ソフトウェア関連発明の場合、なんの実験も試作も伴わない机上の空論状態であることがしばしば。。。
特に、制御対象の機器が存在しない完全なソフトウェアの場合には、実験も試作も行うことなく特許出願が可能なことが多く、実際にそのような出願を数多く担当しました。

また、実験や試作の末だったとしても、そこにかかる費用はプロセス関連や機械・構造系の発明に比べると格段に安く、場合によってはゼロです。
(※人が動くという点で人件費はかかってますが、それは発明のカテゴリに関わらず共通です。ここで言う費用とは実験や試作に要する実費。)

これは、考えようによってはかなりお得です。

特許として国に認められ独占権が付与されるために相当の実験や試作での試行錯誤を行い、そのために相当の費用がかかってはじめて特許になるような技術分野がある反面、ソフトウェア関連発明では、脳内での試行錯誤、創意工夫、場合によっては実際に提供するサービスに際しての仕様を検討するだけで特許が取れてしまう可能性があるということですから。

まぁ、
・実験や試作に費用がかかったんなら、特許出願もしておかないともったいない
・実験や試作に費用がかかってないのに特許取れたらお得
という形で、どっちにもしても特許出願オススメという話にはなるんですが。。。

実験や試作を重ねてようやく辿りつける技術であれば、(商品やサービスとして世に出してもバレないものなら)秘密にすることも可能でしょう。特許出願する場合でも、実験や試作で判明した「一番いいところ」は秘匿する場合もあります。

他方、実験や試作によってではなく、脳内でこねくり回した結果の仕様や構成は、秘密にできたとしても必ずいつか同様の仕様や構成が他人によって作られます。
であるならば、一つの考え方として、ソフトウェア関連発明の特許出願に要する費用は、他のカテゴリの発明が特許されるレベルに到達するために必要であった実験や試作に要した費用だという考え方もできるのではないかと。

で、なんですが。

そんな、実験も試作も必要なく、脳内で仕様をこねくり回しただけの構成が特許という形で独占されてしまって本当にいいんですかね。

実験も試作も必要ないソフトウェア関連の特許出願のすべてを否定するつもりは毛頭ありません。
中には、「こりゃすげえ。。。」というもの、こちらが疑問に思って突っ込んだ内容をすべて打ち返して完全な技術として出願が完成した場合もたくさんありました。

が、

そうじゃない場合もたくさんありました。
特に、出願数稼ぎのために机上の空論でゴチャゴチャと仕様をこねくり回しただけの出願に直面すると思うわけです。

「プロセス関連や機械・構造系の発明とはエラい違いだな。。。これが権利になっていいのかな。。。」と。

特許法の目的、特許権が付与される理由とは、いうまでもなく発明の奨励、産業の発展です。
技術に独占権を与えることは発明の奨励になることは間違いないでしょう。
かたや、仕様をこねくり回しただけのようなソフトウェア関連の特許は果たして産業の発展に寄与しているのか。。。

特に、多くの判例を検討する中で「こんな特許の権利行使が認められていいの?」という判例に触れたときには強く思います。
そして、そういった特許は基本的にソフトウェア関連です。。。
(※自分の専門分野がそこなので、「こんな特許」と思うのはそもそもソフトウェア関連だけということもしれませんが。)

具体的に判例を挙げてこき下ろしたいところですが、まぁやめておきましょう。
ですが一つ言えるのは、疑問を感じる判例の大半で特許審査の甘さを感じるということ。

率直に言えば、
・技術として新しいものであるか
・独占権が与えられる範囲が明確になっているか
という点がもっと厳しく判断されて然るべきだと思っています。

これは現在の特許審査全般に言えることですが、ソフトウェア関連において特に顕著なのではないかと感じると供に、スマホが一人一台レベルで普及しソフトウェアが社会の隅々まで行き渡っている現代、そのようなソフトウェア関連発明についての特許審査が甘いことの弊害は特に大きいのではないかと思う次第。

まぁ、特許出願の審査対応において、あの手この手で審査官の審査を否定し、阻害自由だの後知恵だの容易の容易だのと理屈に理屈を重ねて特許査定をもぎ取ってきた我々弁理士が原因の一端、というか大半を作っているのかもしれませんが。。。

ともかく、そんな特許に損害賠償が認められている現状が果たして「産業の発展」に寄与しているのか、権利者が手にしているのは泡銭ではないのか、と強く思います。

とまぁ、なんとなく特許に対して否定的な話が最後にきてしまいましたが、これは特許されるべきでないものが特許されるから悪いのであって特許制度が悪いわけではありません。
制度は制度なので、その制度がある以上は最大限利用していくしかないでしょう。
むしろ、現状は狙い目ということかと思います。

ともかく、色々と書いた通り、特許を取ることによる効果は、特許料の現金収入以外にもたくさんありまして、上に書いた内容以外にも、意識高いことを言えばIR効果等まだまだあります。それらをしっかりと理解した上で、どこに価値を感じるかは結局本人次第。
「特許を取る意味って何ですか?」という質問に真に答えを出せるのは技術や経営に対しての展望を持っている本人(経営者)以外にはいないというオハナシ。

ですが、ちゃんとした弁理士であればその答えを出すお手伝いくらいはできますし、「これです!」という形で答えちゃう弁理士には要注意じゃないかなと思ったりするというオハナシ。

弁理士に「特許を取る意味って何ですか?」という質問をして、ダイレクトに回答が帰ってこず、相手の弁理士がダラダラと話し続けて「面倒くさいな」と思っても、それはアタナなりの「特許を取る意味」を一緒に考えようとしている姿勢かもしれません。
少し我慢して話を聞いてみて下さい。

どうしても一言でサクッと回答が欲しい人は、出願案件欲しさに都合のいいこと並べ立てる弁理士に騙されてどうぞ。

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